4月22日

hofli2007-04-28



潮の引き始めた浜で素足になり、ゆっくり、ゆっくり、砂を踏み、水際をあるく。
できるだけゆっくり。
ちいさなハゼが足指をすり抜けて泳ぐ。
砂粒のちいささや海藻のぬかるみ具合をあじわい、石ころや貝殻を踏みながら、ゆっくり、ゆっくり。


足の裏の記憶が甦ってくる。
足の裏の感覚に、もしかすると全記憶が貯えられているんじゃないかとおもう。
いろんなことを次々に思い出す。
浜に打ち上げられた流木のように、古い記憶も新しい記憶も混じって汐にさらされている。


300メートルばかりあるくと、岩場にでた。
アオサのくっついた岩に腰をおろし、もやのかかった御神岬のほうをながめる。
やっと石垣島に来た実感が沸いてきた。


じっとしていると、それまで貝殻か石ころだとおもっていたものが、次々にころがりだした。
ヤドカリだ。
気配を消して息を澄ませていないと、また殻に隠れてしまう。



前回石垣に来たとき、月灯りをたよりにカエルの声を録音していると、ちいさくチリチリと珊瑚の砂が音をたてるのだった。
あれ、おかしいな、とおもってよくよく見ると、足許に無数のヤドカリがあるいていたのだ。
あのときの、言い様のない感覚も、やはり足の裏にしっかり折り畳まれて記憶されていた。



浜からサトウキビ畑へと、底地から川平へと吹き抜ける風が、トロンボーンのような音を立てている。
風強く、これは録音できず。